ハナちゃんとソラくんのおはなし
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― 1 ―
むかしむかし、ある村に、ハナちゃんという女の子がいました。
ハナちゃんは、きれいなものが大好きな子でした。
春になると、村のまんなかにある大きなさくらの木が、まいとし見事な花をさかせます。
ハナちゃんは満開のさくらを見あげて、目をきらきらさせて言いました。
― 2 ―
すると、そこにソラくんという男の子がやってきました。
ソラくんは、本をよむのが大好きで、なんでもきちんとしらべないと気がすまない子です。
ソラくんは、ハナちゃんの言葉をきいて、ぷりぷり怒りました。
― 3 ―
ハナちゃんは言いかえしました。
ふたりは「かみさまだ!」「ちがう!」と、おおげんかをはじめてしまいました。
さくらの花びらが、はらはらとふたりの上にふっていましたが、ふたりはもう気づいていません。
― 4 ―
そのとき、さくらの木のとなりの古い木に止まっていたフクロウおじいさんが、ゆっくりと目をあけました。
フクロウおじいさんは、百年も生きていて、この村でいちばんかしこい、と言われています。
ふたりは、けんかをやめて、フクロウおじいさんのところへ行きました。
― 5 ―
フクロウおじいさんは、ハナちゃんにたずねました。
― 6 ―
フクロウおじいさんは、にっこりわらいました。
― 7 ―
ハナちゃんは、ソラくんを見ました。
ソラくんも、ハナちゃんを見ました。
ハナちゃんは、うれしそうにわらいました。
ソラくんも、すこしだけ、てれくさそうにわらいました。
― 8 ―
フクロウおじいさんは、「ホッホッホ」とわらいながら、夕やけの空にとんでいきました。
さくらの花びらは、しずかに、しずかに、ふたりの上にふりつづけていました。
ハナちゃんの目にも、ソラくんの目にも、おんなじさくらがうつっていました。
でも、ふたりが見ているものは、すこしだけちがっていて――
そして、そのどちらも、まちがいではなかったのです。
同じものを見ても、こころで「すてきだなあ」と感じる子と、
あたまで「どうしてだろう」と考える子がいます。
どちらも、世界をたいせつに見ている子です。
けんかをしなくても、だいじょうぶ。
おたがいの目を借りれば、
世界はもっともっと広くなるのですから。
― 了 ―